家族で一緒に夕食をとることは、日本だけではなく世界各国、もっとも大切だと言われる時間の一つです。かつて日本では当たり前といわれてきたこの習慣は、この慌ただしい時代の変化と共に失われがちであり、様々な社会問題に繋がっていると言われています。私も両親と一緒に過ごしていた頃は、好き嫌いに関わらず家族で食事をとっていましたが、その理由が全くわかりませんでした。
それがオーストラリアという国に住むようになり、家族で食事、とくに夕食をすることの大切さ、平凡だけれども、日々の生活スタイルを豊かにし、心身共により健康的な生活を送るためにとても大切であることを知りました。なぜ一緒に食事をすることが大切なのでしょう?今日はその理由と背景についてご紹介してきます。
一緒に食事をとることの一番の目的は?
食事をとることは栄養面で必要ですが、一番大切なことは、家族一人一人が顔を合わせ、コミュニケーションをとることです。メンバー一人一人が、その日会った出来事、最近抱えている問題、成功や達成などを全員の前で発表する、いわゆるプレゼンテーションの時間なのです。論理的な話し方、効果的な伝え方をこの場で学びます。
一人が延々と時間を使って話をしてしまうと、他のメンバーが話す時間がなくなりますよね?それを親が子供に教育をする良い機会が、夕食の時間なのです。子供がまだ上手に話せない小学生であった場合は、簡潔に話す、要点が何かを話させる訓練をします。私が一緒に住んだ家族も、この方法を導入していました。結果、子供たちは自分と向き合う親の対応に、信頼を寄せていました。
自分以外の人間に状況を説明するためには、建設的な話し方が不可欠になります。自分の希望を家族に理解してもらい、それを通す為には時には説得も必要になるでしょう。そういったコミュニケーション能力を訓練するために、夕食をとりながら家族と一緒に過ごすことが大切なのです。夕食の間はテーブルから離れることはマナー違反です。逃げずに向き合う為に、絶好の時間が夕食なのです。
なぜ外食ではなく、家で食事をとることが良いのか
食事の支度をする時間がない為、外食で、と考える家族が年々増えてきています。お腹を満たすというだけであれば、それでいいかもしれませんが、家族が一緒に夕食を家でとることが大切だというには理由があります。
日本の台所は一人の人が食事を準備する為の作業場という作りになっていますが、オーストラリアは夕食を準備することから、家族との時間が始まります。買い物、野菜や肉の下準備、料理の分担作業を一緒に行うことを通して、食事を作ることを学びます。同時に、何が栄養学的に体に良いのか、調味料の加減、添加物や農薬、遺伝子組み換えなどの、食の安全性について、考える時間がここで提供されます。
ここでも親が子供に対し、私たち人間の体に入るものの安全性を教育する非常に良い機会になるのです。また、テーブルのセッティング方法、音楽、照明の加減などを通じて、人を家に招く際のマナーについても学ぶのです。
まとめ
- 家族で夕食を一緒にとる一番の目的は、日々の出来事や悩み、成功を皆にプレゼンする技術を学び、コミュニケーション能力を訓練することです。
- 特に家で食事をとることは、食に対する安全性や健康に対する意識を高め、さらに人をもてなすスキルを学ぶ絶好の機会である。
私たち人間が学ぶのは、学校で試験をパスしたり、良い成績をとるなど、学問的なことだけですか?学ぶということは、知識や技術を習得することだけではなく、日常生活である夕食から健康や心の平和をいかに保っていくかを学ぶことも含まれているのです。
私が学生の頃は、時間帯の都合で家族と一緒に食事をとっていませんでしたが、現在はこの方法で家族と良好な関係を構築しています。今回ご紹介した方法、是非意識的に試してみてください。
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