「ふしぎの海のナディア」が誕生して30年。各地でイベントが開催されるほど、根強い人気を誇る、庵野秀明監督の名作アニメ。最近では、北米で2022年にリリース予定、とのニュースが報道されました。「ラピュタ」と類似した部分がある同作品ですが、SF・歴史・戦争の不条理も同時に描いた大変深い作品です。今回は「ふしぎの海のナディア」のあらすじと見どころについて、改めて解説していきたいと思います。
ふしぎの海のナディアとは
「ふしぎの海のナディア」は1990年にNHKで放送されたアニメ。「エヴァンゲリオン」で有名な庵野秀明氏が監督を務め、当時のアニメの常識を打ち破る名作として、30年経った今でも、多くのファンがいると言われています。「ふしぎの海のナディア」はファンタジーアニメですが、戦争の現実と不条理も同時に描いた、大変深い作品です。
謎の青い宝石「ブルーウォーター」を巡って出会った人々が、潜水艦「ノーチラス号」に乗り組み、敵対する「ガーゴイル」との戦争を通して、ブルーウォーターや登場人物たちの秘密、歴史背景を通し、人間的な成長を描いています。原作はジュール・ヴェルヌのSF小説「海底二万マイル」。
主人公の少女ナディアとボーイフレンドのジャンが14歳と、思春期ならではの葛藤や反抗期の様子も作品中に描かれています。それに対する周囲の大人達の対応や、大人がなぜそのような態度を取るのかといった背景など、10代の青少年が見て自らの状況と共感できる部分もあり、また登場人物たちが大人になっていく様子は、子供だった当時の自分を振り返り考えさせられるものがあるなど、幅広い視聴者から支持される要素ともなっています。
子供向けのアニメとして制作されましたが、現在アマゾンプライムなどでは、13歳以上推奨となっています。「ふしぎの海のナディア」のベースとなったのは、宮崎駿が企画した「海底世界一周」でしたが、NHKで実現しなかった為、スタジオジブリのアニメ映画「天空の城ラピュタ」に転用して作品化した、という経緯があります。「ふしぎの海のナディア」は各話30分で、合計39話からなります。
解説!あらすじと見どころ
注意:「ふしぎの海のナディア」をご覧になったことがない方、ここからは一部ネタバレがあります。
あらすじ
序章(第1話 – 第11話)
西暦1889年、世界中の海で起きた船舶遭難事故により、父親が行方不明になった発明好きの少年ジャンは、飛行機コンテストに参加する為、パリ万国博覧会にやってきて、少女ナディアに一目惚れをします。ブルーウォーターという宝石を持つナディアは、グランディス一味に追われていて、ジャンによって助けられ、ジャンはナディアの生まれ故郷と思われるアフリカまで、自分で作った飛行機で送り届けようとします。ところが、途中で故障し漂流することに。
最初はアメリカの戦艦に助けられるものの、今度はその戦艦が襲われて、再び漂流。ジャンとナディアは、謎の人物ネモ船長が指揮する万能潜水艦ノーチラス号に救助され、修理した飛行機でフランスに帰ろうとしますが、途中ある島に近づいた際に攻撃されて不時着。宝石を狙うグランディス一味たちと遭遇したその島は、ネオ・アトランティスという悪の組織が占拠しており、ジャン、ナディア、グランディス一味は皆、ノーチラス号に救助されて、乗組員となります。
第一部:ノーチラス号編(第12話 – 第22話)
ジャンとナディア一行は、ノーチラス号の窮地を救ったグランディス一味たちと共に、見習い乗組員として採用され、潜水艦ノーチラス号での共同生活をすることに。ノーチラス号と敵対するネオ・アトランティスの潜水艦ガーフィッシュとの戦闘が度々起き、戦争の現実と悲惨さを知ることに。
ある日、ネオ・アトランティスの罠に落ちたノーチラス号は、船体が破壊され絶体絶命の危機に。海底へと沈んでいくノーチラス号を、ネモ船長は乗組員をメインブロックに集め、戦闘ブロックを切り離し、ガーフィッシュを全滅。ネモ船長は、ナディアたちだけでも助けるために船長室をメインブロックから切り離し、別れを告げます。
第二部:無人島編(第23話 – 第34話)
ナディアたちを乗せた船長室は、ゆっくりと海中を進み、とある無人島に漂着。しばらくして、突然近くに島が現れ、向かってみると、そこにはグランディス一行が。この島で暮らしているうちに、ナディアたちは島の正体は、古代アトランティス人たちの宇宙船レッドノアであることを知ります。古代人が残したいくつかの導きにより、一行は、ナディアの生まれ故郷であるアフリカに向かうことに。
最終部:N-ノーチラス号編(第35話 – 第39話)
突如現れたネオ・アトランティスの空中戦艦。攻撃からジャンたちを守るため、ナディアは捕らわれの身となります。にも関わらず、ネオ・アトランティスの長、ガーゴイルは約束を破り攻撃。逃げるジャンたちは、間一髪のところを謎の小型艇に助けられる。その先にある赤錆びた物体は、ネモ船長率いる Ν-ノーチラス号でした。Ν-ノーチラス号とネオ・アトランティスの最後の戦いはどうなるのか!?
見どころ:トラウマシーン
「ふしぎの海のナディア」の話の中で、衝撃的なシーンが第15話。当時は、トラウマシーンと揶揄されることもありました。仲間を救うために、喜んで犠牲になる。死を覚悟して「これが運命」と受け入れる。これまで名作といわれる多くのアニメ(例えば、宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダムなど)で、仲間のために自己犠牲を厭わない戦士はたくさんいました。
「ふしぎの海のナディア」のこの回で亡くなったフェイトの死は、人間の本能を改めて思い知らせ、視聴者に後味の悪さを植え付ける衝撃的な終わり方で、ある意味トラウマになった人も多かったようです。それは、ブザー音が鳴り、それは毒ガスが致死濃度に達したことを示すもので、それを聞いたフェイトは、死を目前に、恥もプライドも捨て、「嫌だああ!!」と叫び亡くなりました。
ナディアを含め乗組員一員は、この出来事を通し、命の尊さと戦争がどういうものなのかということを、身をもって知り、生きることについて考える名場面なのですが、多感な子供が見るには、少し刺激的かもしれません。
2022年北米版(英語)に関する情報
2022年4月、アメリカの映画配給会社・GKIDSが、庵野秀明監督アニメ「ふしぎの海のナディア」の北米における配給権を取得したことを発表しました。北米では初の4Kリマスター版の家庭用ビデオディスクを2022年内にリリースする予定です。GKIDSは、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のBlu-ray Boxを2021年に北米ではじめて発売し、現地のファンから高い評価を得た実績を持つ会社。アメリカ在住の方々、乞うご期待。
出典:Yahoo Japan news
まとめ
- ふしぎの海のナディアは、戦争の不条理も同時に描いたファンタジーアニメ。一部、トラウマなる場面あり。
- 北米版、2022年にリリース予定。名作のあらすじ・見どころを解説。
賛否両論あるかもしれませんが、あらすじ・見どころを含め、教育的にも学びの多い名作アニメだと思います。本文中に解説したように、戦争の現実と悲惨さをどう伝えるのかというのは、我々人類の課題。一つの企画案から「ふしぎの海のナディア」と「ラピュタ」という2つの名作が生まれ、多くの人に感動を与えた日本のアニメはすごいですね。北米版、ビジュアルは多少変更されているかと思うので、機会があれば見てみたいものです。
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