「ETFと投資信託は何が違うの?」「NISAで積立するなら、どちらを選べばいい?」投資を始めると、この疑問にぶつかる人は多いのではないでしょうか。ETFも投資信託も、多くの株式や債券などにまとめて投資できる金融商品です。しかし、売買方法、手数料、分配金、税金、NISAでの使いやすさには違いがあります。ETFと投資信託のどちらかが常に優れているわけではありません。投資目的や投資方法によって、向いている商品は異なります。この記事では、ETFと投資信託の違いを、NISA・手数料・税金・分配金・長期保有という視点から比較していきます。
【補足】ETFの基礎については、過去の記事で詳しくまとめていますので、併せてご覧下さい。

ETFと投資信託、結局どっちがいい?
まず大きく整理すると、投資信託は「自動積立・長期保有」に向きやすく、ETFは「自分で売買価格やタイミングを決めたい人」に向きやすい金融商品です。ETF(Exchange Traded Fund)は、証券取引所に上場している投資信託です。東京証券取引所に上場するETFなら、通常の株式と同じように市場が開いている時間に売買でき、指値注文や成行注文も利用できます。一方、一般的な非上場の投資信託は、株式のように市場価格を見ながらリアルタイムで売買する商品ではありません。
【参照・出典】日本取引所グループ(JPX)「売買制度(ETF)」

つまり両者の最大の違いは、「何に投資するか」よりも「どう買い、どう保有するか」にあります。同じS&P500やTOPIXなどを対象としていても、ETFなら市場価格を見ながら売買でき、投資信託なら定額積立を自動化しやすいという違いがあります。
【個人の見解】
投資初心者で「毎月一定額を長期間積み立てたい」という場合、まず低コストの投資信託から検討する方法がシンプルと考えます。一方、投資に慣れ、「相場が大きく下落したときに買い増したい」「指値で価格を決めて買いたい」という人にとっては、ETFの自由度が大きなメリットに繋がる可能性があります。
ETFと投資信託の違いを比較
主な違いを整理すると、次のようになります。
|
比較項目 |
ETF |
投資信託 |
|
上場 |
原則、証券取引所に上場 |
原則、非上場 |
|
売買価格 |
市場価格 |
基準価額 |
|
売買タイミング |
取引時間中 |
原則1日1回算出される基準価額 |
|
指値注文 |
できる |
できない |
|
定額積立 |
証券会社・商品による |
対応商品が多い |
|
分配金 |
支払われる商品が多い |
分配型・無分配型などさまざま |
|
保有コスト |
経費率・信託報酬等 |
信託報酬等 |
|
NISA |
対象ETFなら利用可能 |
対象商品なら利用可能 |
「ETFは投資信託を株式市場で取引できるようにしたもの」と考えると、初心者には分かりやすいでしょう。
積立投資ならどっちがいい?
長期の資産形成を目的とする場合、「毎月どうやって買うか」は非常に重要です。投資信託の強みは、例えば「毎月3万円」のように金額を決めて自動購入することです。価格が高いときには少なく、安いときには多く購入するドル・コスト平均法による定額積立は、自身が毎月相場を見て購入判断をする必要がありません。また、分配金を自動で再投資して複利効果を得やすい構成でもあります。投資信託は、いわゆる「お任せ」でいきたい方向けです。
これに対し、EFTには市場価格と売買単位があります。安い価格の時に買い、高値の時に売却したいなど、「自分で考え決断して行動したい」方に向いています。尚、ETFも積立できる証券会社はあります。
投資信託が向いているケース
- 毎月一定額を自動積立したい
- 少額から投資したい
- 購入タイミングを考えるのが面倒
- 分配金を自動的に再投資したい
- 長期保有を前提にしたい
ETFが向いているケース
- 株式と同じように価格を見ながら買いたい
- 暴落時などに自分の判断で追加購入したい
- 特定の指数・市場・債券などに投資したい
手数料
投資信託にかかる手数料
投資信託には主に、「購入時手数料」「運用管理費用」「監査報酬」「売買委託手数料」「信託財産留保額」などの手数料がかかります。
- 購入時手数料:購入時に販売会社に支払う費用。ファンドや販売会社によってはこの費用がない場合もあります (ノーロード) 。
- 運用管理費用(信託報酬):投資信託を保有している間、保有額に応じて日々支払う費用。
- 監査報酬;投資信託は原則決算ごとに、監査法人などから監査を受ける必要があり、その監査に要する費用。
- 売買委託手数料;投資信託が投資する株式などを売買する際に発生する費用。発生の都度、間接的に徴収されます。
- 信託財産留保額(商品による):投資信託を購入または解約する際、手数料とは別に徴収される費用。信託財産に留保される。
【参照・出典】一般社団法人資産運用業協会「投資信託のコスト」

ETFにかかる手数料
投資家が負担するコストは2つあります。一つは、「ETFを売買する際に証券会社に支払う手数料」です(一般的に株式と同じ)。もう一つは、「信託報酬」で、購入後に投資家が負担する運用手数料です。ETFの信託報酬は、非上場の公募投信に比べて一般的に低い水準となっています。 信託報酬はあらかじめ運用会社により年率で定められ、日割り計算した割合で日々信託財産から差し引かれます。米国ETFなど海外の商品を購入する場合は、為替コストについても確認する必要があります。
【参照・出典】日本取引所グループ(JPX)「よくあるご質問(上場商品)」

【個人の見解】
重要なのは「信託報酬だけ」を比較しないことです。例えば、投資信託の信託報酬がETFより少し高くても、購入手数料がなく、自動積立・再投資まで簡単に行えるなら、総合的な利便性では優れる場合があります。長期投資では、保有コストだけではなく、購入・売却・為替まで含めた総コストで考えましょう。調べたり考えたりする手間=時間も、ある意味コストと捉えられます。初心者の場合は特に、「長期間無理なく続けられる仕組み」を作る方が重要だと考えます。
NISAではどっちが使いやすい?
2026年時点で、NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。年間投資枠は、「つみたて投資枠:120万円」「成長投資枠:240万円」、合計最大360万円です。非課税保有限度額は1,800万円で、このうち成長投資枠は最大1,200万円です。非課税保有期間は無期限です。
【参照・出典】金融庁「NISAを知る」
また、「つみたて投資枠=投資信託のみ」と思われがちですが、これは正確ではありません。金融庁の「つみたて投資枠対象商品一覧」では、一定の条件を満たすETFもつみたて投資枠の対象となっています。
【参照・出典】金融庁「つみたて投資枠対象商品」
【個人の見解】
つみたて投資枠ではETFの選択肢はありますが、すべてではなく限定されます。そのため実際の運用では、「つみたて投資枠」 は投資信託を中心に長期積立、「成長投資枠」は ETF・投資信託・個別株など分散、という使い方が分かりやすく、管理しやすいと考えます。ETFか投資信託のどちらか一方を選ぶ必要はありません。
分配金と税金
長期運用へ影響を与える分配金と税金について、投資信託とETFを比較してみていきましょう。
分配金
投資信託
- 分配金を出すタイプ
- 分配金を出さず内部で再投資するタイプ(分配金再投資:複利効果が期待される)
ETF
- 分配金がある場合、投資家に支払われるケースが一般的(自動再投資ではない)
通常の課税口座では、上場株式等の配当・分配金には原則として20.315%の税率が適用されます。
【参照・出典】国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
投資信託の分配金には、「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」があります。普通分配金は利益に相当するため課税対象ですが、元本払戻金は実質的に自分の元本が戻ってきたものなので非課税です。
【参照・出典】一般社団法人資産運用業協会「分配金・換金/償還の知識」
【参照・出典】一般社団法人資産運用業協会「基準価額と分配金」

尚、投資信託・ETF共に、国内商品と海外商品で税法上の違いがあります。NISAでも外国税が完全になくなるとは限りません。
【個人の見解】
ここで注意したいのは、「分配金が多い=投資成績が良い、ではない」ということです。投資信託が分配金を支払うと、その分だけファンドの資産が減り、基準価額にも反映されます。長期的に資産を増やすことが目的なら、分配金を頻繁に受け取るより、ファンド内部で運用を続ける商品の方が複利効果を活用しやすい場合があります。よって、資産形成する投資家であれば、「いくら分配金がもらえるか」だけでなく、分配金を含めたトータルリターンで判断することが重要だと思います。
税金
米国ETFをNISAで買う場合は税金に注意が必要です。NISA口座で取得した対象上場株式等の配当等や売却益は、日本では非課税になります。
【参照・出典】国税庁「No.1535 NISA制度」
しかし、米国ETFの分配金については、NISAを使っても米国側の源泉徴収まで自動的にゼロになるわけではありません。ここは国内ETFとの大きな違いです。日米租税条約に基づき、日本居住者が米国企業から受け取る配当金や分配金には、米国で10%の源泉徴収が行われる仕組みになっています。
【参照・出典】IRS「Tax treaty tables」

さらに、NISAでは日本側の配当課税が非課税になるため、米国で徴収された税について通常の外国税額控除を利用できない点にも注意が必要です。証券会社の案内でも、NISA口座の米国株配当について米国での10%源泉徴収は残り、外国税額控除の対象にならないと説明されています。
【参照・出典】国税庁「No.1240 居住者に係る外国税額控除|居住者に係る外国税額控除の対象とならない外国所得税額」
【参照・出典】楽天証券「取引・ルール」

【補足】外国税額控除の扱い:特定口座であれば確定申告で「外国税額控除」を利用して一定の調整・還付を受けられますが、NISA口座で受け取った米国ETFの分配金は外国税額控除の対象外となります。
【個人の見解】
つまり、「NISAだから米国ETFの分配金も完全に無税」とは限りません。米国ETFを選ぶ場合は、「売買コスト」「為替コスト」「外国での源泉税」を考える必要があります。例えば、S&P500など同じ市場に投資する場合でも「米国ETF」「国内ETF」「国内の投資信託」という複数の方法があります。長期積立が目的なら、税金・為替・再投資の手間まで含めて比較するのが賢明です。
国内ETF・米国ETF・投資信託はどう使い分ける?
同じ資産に投資する場合でも、複数の方法があります。下記、投資対象別の一例です。
日本株市場: 国内ETF、投資信託
S&P500など米国株:米国ETF、国内ETF、国内投資信託
全世界株式: 投資信託、ETF
債券: 国内・海外ETF、投資信託
高配当株:→ ETF
大切なのは「ETFか投資信託か」で考えるのではなく、①何に投資したいか、②どのくらいの期間保有するか、③積立か一括投資か、④分配金が必要か、⑤NISAをどう使うか、を考えることです。
ETFが向いている人・投資信託が向いている人
投資信託が向いている人
・投資初心者
・NISAで毎月積立したい
・少額から投資したい
・購入を自動化したい
・長期保有を考えている
・分配金より資産形成を重視したい
ETFが向いている人
・株式と同じように自分で売買したい
・指値注文を使いたい
・相場下落時などに追加購入したい
・分配金を受け取りたい
・特定の市場・業種・債券などに投資したい
・米国ETFなど特定の商品を直接保有したい
投資に慣れてきたら、併用という方法もあります。例えば、NISAで投資信託を長期積立して守りの投資、ETFで高配当株・債券・特定市場などへ投資して攻めの投資、をすることにより資産管理をするという使い方です。
まとめ|「どっちがいい」より「何のために使うか」
ETFと投資信託には、それぞれメリットとデメリットがあります。投資信託は、自動積立・少額投資・長期保有との相性が良く、初心者にも扱いやすい金融商品です。一方ETFは、市場価格を見ながら自由に売買でき、国内株・米国株・債券・高配当株など幅広い資産へ効率的に投資できるメリットがあります。ETFと投資信託のどちらが優れているかではなく、自分は何のために投資するのか、を考えることが大切です。
長期的な資産形成を目的とするのであれば、まずNISAの積立投資枠などを使って投資信託を積み立て、必要に応じてETFを組み合わせる方法が分かりやすいと考えます。投資経験が増えれば、「積立は投資信託」「価格が大きく下落したときの追加投資はETF」という使い分けも考えられます。またどちらの割合を多くするかという選択も、自身の投資目的やスタイルに合わせて考えていくと良いでしょう。ETFと投資信託は、ライバル商品ではありません。目的に応じて使い分けるための、2つの投資手段ではないでしょうか。
【筆者について】
この記事は、金融・経済を学んでいる筆者が、複雑なニュースや数字を事実に基づいて整理し、一般人の目線で投資初心者や個人投資家向けにわかりやすく伝えることを目的としています。本文では、確認できる事実とそれに基づく分析、そして筆者自身の見解を記載しています。
【投資に関する注意】
本記事は公表資料をもとに、ETFや投資信託の仕組みについて筆者個人の見解を加えてまとめたものであり、特定の金融商品、ETF、投資信託、株式、通貨、貴金属などの購入・売却を推奨したり、投資判断を助言したりするものではありません。本記事で紹介している「個人の見解」は、あくまで筆者自身の投資に対する考え方です。投資に関する最終的な判断は、最新の目論見書や金融機関、金融庁・国税庁等の情報を確認し、投資目的、資産状況、リスク許容度などを踏まえてご自身の責任で行ってください。
【参照・出典】
日本取引所グループ(JPX)「売買制度(ETF)」

一般社団法人資産運用業協会「投資信託のコスト」

日本取引所グループ(JPX)「よくあるご質問(上場商品)」

金融庁「NISAを知る」
金融庁「つみたて投資枠対象商品」
国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
一般社団法人資産運用業協会「分配金・換金/償還の知識」
一般社団法人資産運用業協会「基準価額と分配金」

国税庁「No.1535 NISA制度」
IRS「Tax treaty tables」

日米租税条約に基づき、日本居住者が米国企業から受け取る配当金や分配金には、米国で10%の源泉徴収が行われる仕組みになっています。
国税庁「No.1240 居住者に係る外国税額控除|居住者に係る外国税額控除の対象とならない外国所得税額」
楽天証券「取引・ルール」

NISA口座の米国株配当について米国での10%源泉徴収は残り、外国税額控除の対象にならないと説明されています。
