オーストラリア最大の都市であるシドニーは、世界的にも住みやすい都市ランキングで常に上位に入る人気の街です。多文化が共生し、ビジネス・教育・観光・自然のバランスが取れており、ライフスタイルの幅広さが魅力です。ただし、シドニーはエリアによって雰囲気や治安が大きく異なります。
例えば、オフィス街に近く利便性の高いエリアを選ぶ人もいれば、家族や子育てを重視して静かで治安の良い安全地域を好む人もいます。また、サーフィンやビーチライフを楽しみたい人にとっては海沿いのエリアが最適です。住むエリアを選ぶ際には「治安」「交通の利便性」「生活環境」「学校」「家賃水準」などを総合的に考えることが大切です。今回は、シドニーを大きく5つのエリア(中心地・東・北・南・西)に分け、それぞれの特徴と治安の傾向・家賃相場について見ていきます。
シドニーの主要エリアMap data ©2017 Google
シドニー各エリアの特徴ー生活環境・治安ー
中心地の特徴
シドニー中心地(CBD:Central Business District)は、まさに都市の心臓部。オペラハウスやハーバーブリッジといったランドマークがあり、金融機関や大手企業が集まるエリアです。
生活環境
- 交通の利便性は住むのに抜群。電車・バス・ライトレールが集中しており、郊外へのアクセスも容易。
- 大学や語学学校も多く、留学生にとっては便利。
- ショッピングやレストランも充実しており、生活に不自由しない。
治安
中心地は人の出入りが多いため、日中は比較的安全です。ただし、夜間は酔客や観光客が集まるため、スリや軽犯罪に注意が必要です。特にナイトライフが盛んなキングスクロス(Kings Cross)周辺は過去に治安面で懸念がありましたが、近年は規制強化により改善傾向にあります。それでも夜遅くの一人歩きには注意を払いましょう。
東エリアの特徴
東シドニーはシドニーの中でも「ビーチライフ」を象徴するエリアで、世界的に有名なボンダイビーチやクージービーチがあります。海を愛する人が住むには最高のエリアです。
生活環境
- サーフィンやビーチを楽しむ人に人気。
- 海沿いのカフェやレストランが多く、洗練されたライフスタイル。
- 家賃は高めで、特にボンダイやタマラマは家族や富裕層に人気。
治安
東エリアは全体的に治安が良いとされます。観光地であるため人通りも多くて安全、安心して生活できます。ただし、観光客狙いの置き引きや車上荒らしは起こることがあります。夜間はビーチ沿いでの飲酒トラブルに注意。
おすすめエリア
- ボンダイ(Bondi):活気があり若者や留学生に人気。
- クージー(Coogee):ボンダイより落ち着いた雰囲気で家族層に人気。
- パディントン(Paddington):歴史的な街並みとおしゃれなカフェが魅力。治安も良好。
北エリアの特徴
ノースシドニーは、ハーバーブリッジを渡った先に広がる高級住宅街が多い地域です。自然豊かで落ち着いた雰囲気があり、教育水準の高い学校も多いことから子育て世代に特に人気があります。
生活環境
- 高級住宅街が多く、静かで落ち着いた雰囲気。
- 公園や緑が豊富で、健康的なライフスタイルを送れる。
- 公立・私立ともに優れた学校があり、教育水準が高い。
治安
北エリアはシドニーでも最も治安が良い地域の一つ。犯罪発生率が低く、夜間でも比較的安全。安心して歩けます。特にモスマン(Mosman)やマンリー(Manly)は高級住宅街で、家族連れにとって住むのに理想的な環境です。
おすすめエリア
- マンリー(Manly):ビーチリゾートと落ち着いた住宅街が融合。
- モスマン(Mosman):裕福な層が多く、治安良好。
- ノースシドニー(North Sydney):都市へのアクセスも良く、ビジネスパーソンにも便利。
南エリアの特徴
南シドニーは、ビーチや自然が多く残るエリアで、家賃を抑えつつ海沿いに住むには良いエリア。比較的庶民的な暮らしができます。特にクロヌラ(Cronulla)はローカルなビーチタウンとして人気があります。
生活環境
- 市内中心部に比べると家賃が比較的安め。
- ビーチや自然が多く、アウトドア派に最適。
- 空港に近いことから旅行好きにも便利。
治安
南エリアの治安は場所によって差があります。クロヌラは家族連れに人気で比較的安全ですが、夜間の飲酒トラブルには注意が必要です。周辺の工業エリアや港湾エリアでは、時折軽犯罪が発生することもあります。
おすすめエリア
- クロヌラ(Cronulla):海沿いのライフスタイルを楽しめる。
- カーニー(Kogarah):多文化が共生する住宅街で利便性が高い。
- ロッカデール(Rockdale):比較的家賃が抑えられる。
西エリアの特徴
西シドニーは多文化共生が進む地域で、シドニー人口の増加に伴い住宅開発が進んでいるエリアです。家賃が比較的安いため、多くの移民や若者、学生が暮らしています。中心地から離れますが、広い家に住むには良いエリア。
生活環境
- 家賃が中心部や北エリアに比べると安く、広い住宅を確保しやすい。
- 大型ショッピングセンターや多国籍レストランが豊富。
- 鉄道やバス網が発達しているが、市内中心部までは時間がかかることも多い。
治安
西シドニーは地域によって治安に差があり、比較的犯罪発生率が高いエリアも存在します。特に深夜は注意が必要。ただし、地域によっては新興住宅地として整備が進んでおり、家族で安心して暮らせる場所も増えています。
おすすめエリア
- パラマタ(Parramatta):西シドニーの中心都市。再開発が進み利便性が高い。
- ストラスフィールド(Strathfield):教育環境が整い、留学生や家族層に人気。
- バルメイン(Balmain):再開発が進みカフェ文化が栄える。治安も比較的安定。
エリア別・治安情報ーまとめー
シドニーは「どこに住むか」で生活のスタイルや快適さが大きく変わる都市です。
- 利便性重視なら中心地(CBD)周辺
- ビーチライフなら東エリア(ボンダイ・クージー)
- 子育て・教育なら北エリア(モスマン・マンリー)
- 自然や庶民的な暮らしなら南エリア(クロヌラ)
- コスパ重視・多文化体験なら西エリア(パラマタ・ストラスフィールド)
治安面では北エリアや東エリアが特に安心できる一方で、西エリアや一部の南エリアでは注意が必要です。ただし、どの地域でも基本的な防犯意識を持ち、夜間の一人歩きを避けるなどの行動を取れば、安心して暮らすことができます。シドニーは多様な顔を持つ街。自分のライフスタイルに合ったエリアを見つけ、治安や安全性を考慮しながら住まいを選ぶことが、快適なシドニーライフへの第一歩となるでしょう。
シドニー各エリアの家賃相場
中心地の特徴と家賃相場
シドニーCBDや周辺(サリーヒルズ、ダーリングハーストなど)は、利便性が非常に高い一方、家賃はシドニーでも最も高い水準です。
家賃相場(週あたり)
- 1ベッドルーム: $750〜$950(約7.5万〜9.5万円)
- 2ベッドルーム: $1,100〜$1,400(約11万〜14万円)
特にシティ直結の物件は学生寮やシェアハウスの需要も強く、ワンルームはすぐに埋まります。
東エリアの特徴と家賃相場
ボンダイ、クージー、パディントンなど「ビーチ&おしゃれカフェ」の代名詞的エリア。人気のため家賃は高めです。
家賃相場(週あたり)
- ボンダイ(Bondi):1ベッド $850〜$1,000 / 2ベッド $1,200〜$1,600
- クージー(Coogee):1ベッド $750〜$950 / 2ベッド $1,100〜$1,400
- パディントン(Paddington):テラスハウス型が多く、2ベッドで 平均$1,300前後
海に近いほど家賃が高く、内陸に入ると少し下がります。
北エリアの特徴と家賃相場
モスマンやマンリーなどの高級住宅街が多い北エリアは、家族向け。教育環境・治安の良さ・自然環境のバランスが優れています。
家賃相場(週あたり)
- モスマン(Mosman):1ベッド $800〜$1,000 / 2ベッド $1,200〜$1,700
- マンリー(Manly):1ベッド $850〜$1,100 / 2ベッド $1,300〜$1,800
- ノースシドニー(North Sydney):1ベッド $750〜$950 / 2ベッド $1,200〜$1,500
高級住宅街だけに、家族向け一軒家は週 $2,000超 のケースも珍しくありません。
南エリアの特徴と家賃相場
クロヌラやコガラは比較的庶民的で、ビーチや空港に近い点が魅力です。
賃貸相場(週あたり)
- クロヌラ(Cronulla):1ベッド $600〜$800 / 2ベッド $850〜$1,100
- コガラ(Kogarah):1ベッド $550〜$750 / 2ベッド $800〜$1,000
- ロッカデール(Rockdale):1ベッド $520〜$700 / 2ベッド $750〜$950
中心地や東・北と比べると、コストを抑えやすいのがメリットです。
西エリアの特徴と家賃相場
多文化都市・パラマタや教育環境の整ったストラスフィールドなど、広い住宅が比較的安く手に入ります。
家賃相場(週あたり)
- パラマタ(Parramatta):1ベッド $550〜$750 / 2ベッド $750〜$1,000
- ストラスフィールド(Strathfield):1ベッド $600〜$800 / 2ベッド $850〜$1,200
- バンクスタウン(Bankstown):1ベッド $500〜$650 / 2ベッド $700〜$950
家賃は市内の半額程度で済むケースもあり、学生や新婚世帯に人気。ただし治安は地域差が大きい点に注意が必要です。
エリア別・家賃相場まとめ(月額換算)
家賃相場を比較すると、
- 最も高いのはCBD・東エリア・北エリア(週$1,200以上が相場)
- 中間層は南エリア(週$800〜1,100)
- コスパ重視なら西エリア(週$500〜900)
という構図が見えてきます。治安とライフスタイルを優先するなら東・北、コスト重視なら西・南、利便性重視ならCBDといった選び方ができます。シドニーの賃貸は「週単位(weekly rent)」で表示されますが、日本人には「月額」で考えた方が分かりやすいでしょう。ここでは1AUD=100円換算で月額に直しています。
エリア | 1ベッドルーム(月額) | 2ベッドルーム(月額) | 特徴 |
CBD(中心地) | 約30〜38万円 | 約44〜56万円 | 利便性抜群だが高額 |
東エリア(ボンダイ等) | 約32〜40万円 | 約48〜64万円 | ビーチライフ、観光人気で高め |
北エリア(マンリー等) | 約32〜40万円 | 約48〜68万円 | 高級住宅街、家族向け、教育水準高い |
南エリア(クロヌラ等) | 約22〜30万円 | 約32〜40万円 | 庶民的でコスパ良し |
西エリア(パラマタ等) | 約20〜26万円 | 約30〜40万円 | 多文化、比較的安価 |
シェアハウスという選択肢
シドニーでは多くの留学生や若い社会人が シェアハウス(シェアメイトと家を共有) を利用しています。部屋を個人で借りるより大幅にコストを抑えられるのが魅力です。
シェアハウスの家賃相場(2025年現在)
- 個室(1人部屋):週 $250〜$400(約10万〜16万円/月)
- ツインルーム(2人で1部屋をシェア):週 $180〜$250(約7万〜10万円/月)
- リビングシェア(リビングを仕切って寝室化):週 $150〜$200(約6万〜8万円/月)
エリア別のシェアハウス家賃傾向
- CBDや東エリア → 個室は高額(15万円/月以上)、ただし交通費が抑えられる
- 北エリア → 個室シェアでも15〜20万円近いが、環境は抜群
- 南・西エリア → 個室10〜12万円/月前後、もっともコスパが良い
まとめ
好みのエリア、そこが安全かどうかの治安状況、学校や職場までのアクセス、部屋タイプ、家賃相場など、様々な要素を検討する必要があり、相手と交渉する必要もあります。最初は色々と戸惑うかもしれませんが、その経験もそこでの出会いも、きっと人生の糧になるでしょう。私の場合、シェアハウスを選択しましたが、同居人の影響で、沢山の友人ができました。シドニーで家を探す際、治安の良さは生活する上での基盤になります。私は東エリアに住んでいましたが、夜間でもトラブルに遭遇したことは一度もありませんでした。一方で、他のエリアに夜出かけた際は、少し警戒心をもって行動していました。これらの情報を参考に、皆さんも素敵な家に巡り会えますように。
【補足】シドニーの暮らしに関する他の関連記事は、下記の通り。

