ダニング=クルーガー 効果:どう職場や家庭で活用するか?

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世の中には、大変優れた能力や経験があるにも関わらず、自分を過小評価する人もいれば、中身がないにも関わらず、どこからくるのかわからない自信により自分を過大評価して、他人を見下す人がいます。心理学者のダニングとクルガーが解明した「ダニング=クルガー効果」は、職場を含めた社会活動で、世界的に認識されています。今回は、ダニング=クルガー効果とは何なのか、わかりやすくみていきたいと思います。

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ダニング=クルーガー効果とは?

ダニング=クルーガー効果とは、正しく自己評価ができず、過大評価してしまうことです。これまでの経験・先入観・直感などが作用して、実際の評価とかけ離れた錯覚を意味します。例えば、「能力の低い人が他人の能力を認識できずに、自身の方が優れていると思いこんでいる、といった状態です。

ダニング=クルーガー効果(Dunning-Kruger effect)は、心理学者の「デイヴィッド・ダニング」(David Dunning)と「ジャスティン・クルーガー」(Justin Kruger)が行った「なぜ能力の低い人間は自身を素晴らしいと思い込むのか」という研究から、彼らの名前で命名されています。

ダニング=クルーガー効果の定義

認知バイアスのひとつで、自身の能力や容姿、言動や立ち振る舞いなど様々な場面において、実際の評価と自己評価にズレが生じる心理現象の一つです。この時、自己評価が客観的評価よりも高い場合(=過大評価)をダニング=クルーガー効果と定義しています。ダニング=クルーガー効果は1999年に論文で効果を示し、2000年にはイグノーベル賞を受賞して、世界中で注目されるようになりました。

世界の四聖人と呼ばれる、孔子やソクラテス、シェイクスピアなどが、ダニング=クルーガー効果に通じる言葉を残していることからも、非常に歴史深いものです。孔子(紀元前551年~479年)は「真の知識は、自分の無知さを知ることである」と説き、ソクラテス(紀元前470年~399年)は「無知の知:無知であること知ることが重要」と説いています。

ダニングクルーガーの曲線

ダニングクルーガーの曲線は、自信と知恵を表現するものです。縦が自信、横が知恵を表します。知恵の成熟度が増加するにつれて、自信が変動していることが把握できるでしょう。

①最初に少しの知恵を得た時は、完全に理解したような気持ちになって「私は優秀だ!」と自身に満ち溢れています。「馬鹿の山(Peak of Mount Stupid)とも呼ばれます。

②少し学びを進めると、全体の大きさを知って「自分は何もわかっていない」と自信を失っています。「絶望の谷(Valley of Despair)」とも呼ばれます。

③更に学びを進めると、成長を実感して「以前よりも少しわかってきた」と自信を持ち始めます。「啓蒙の坂(Slope of Enlightenment)」とも呼ばれます。

④更に学びを進めると、知恵が成熟して「これは得意だが、これは得意ではない」と正確な自己評価が行えるようになります。「継続の大地(Plateau of sustainability)」とも呼ばれます。

ダニング=クルーガー効果で特に取り上げられているのは①の「私は優秀だ!」の状態です。知恵や経験、能力が低いにもかかわらず、周りが見えずに自信に満ち溢れている(自分を過大評価している)状態です。自分がそのことについて知らない(自分が無知だ)という事実を知っていることが重要になります。

ダニング=クルーガー効果によって起きること

ダニング=クルーガー効果によって、自分と他者との間に評価のズレが生じると、コミュニケーションに問題が出てきます。たとえば能力が低い人に皮肉を言っても、ダニング=クルーガー効果によって、相手は皮肉を皮肉と捉えられません。純粋に褒め言葉として皮肉を受け取ってしまうのです。結果、様々なことが起こります。

自分を過大評価する

例えば、運転免許証を取ったばかりの初心者マークを付けたドライバーは、自身の能力の低さを認識して、最初は慎重に運転します。しかし3年から5年経過して運転に慣れたドライバーは、運転の慣れから自身の運転技術を見誤って事故を起こす確率が増えるという結果が出ています。これはダニング=クルーガー効果によるものです。

知識不足に陥る

能力が低い人ほど、全体の本質や知識の総量が足りないにもかかわらず、自分は知識があると錯覚します。「自分の知識量は足りている」と感じるため、これ以上知識を増やす必要性は感じません。

逆に能力のある人は、「周囲も自分と同等の知識は持っている、自分はまだまだ知識不足だ」と自己評価を低くしてしまうため、さらに知識が増えるという結果になります。

他者をきちんと評価できない

自己評価は、周囲の反応や他者の評価によって影響されるものです。そのため自己評価を誤っている人は、周囲や他者への評価も誤っている可能性があります。部下を評価する上司がダニング=クルーガー効果に陥っていた場合、部下の正しい評価はできないでしょう。自分自身を高く評価してしまっているがために、部下の評価を不当に低く、あるいは能力がないにも関わらず、高くつけてしまう可能性があるのです。

騙されやすい

自己評価が高すぎる人ほど、詐欺被害に遭いやすく騙されやすい傾向にあります。若くして成功を納めた人が、ダニング=クルーガー効果に陥って詐欺に遭い、大金を騙し取られたという話も珍しくありません。「成功した自分は優れているので騙されるわけがない、自分の判断は正しい」と自意識過剰になっている為、このようなことが起こるのです。

困難に対処できない

自己評価が高すぎる為、困難や壁に直面したときに対応できなくなってしまいます。自己認識と現実に大きな差が生まれてしまうためです。根拠のない自信をもった人は、困難や壁にも前向きに挑戦する傾向にあります。しかし「自分に乗り越える能力がない」と分かったとき、事実を認められず適応できません。

ダニング=クルーガー効果が発生する原因は、自身を正しく客観的に判断する認知能力の不足だとされています。他者からのフィードバックは、自分を顧みる重要なポイントになる為、人が社会で活動し、他者と接することは大変重要といえます。

職場でどう活用すべきか?

ダニング=クルーガー効果によると、過信するのも、謙遜して消極的になるのも、人間に共通した心理だと言われています。この効果を職場や家庭で活用し、成長に繋げるように活用することができます。

天狗になっている人への対処

天狗になっている人は、根拠もなく「自分がすごいやつだ」と思っている状態にあります。自分の実力を過信して、ポジティブな状態になっています。まずは、チャレンジの場を提供しましょう。結果、上手くはいかないでしょうが、自分ができないことを認識させることで、次のステージに送り出してあげることが大切です。

ポイントは、良かった点と悪かった点をフィードバックしてあげること。なぜうまくいかなかったのか考えさせることです。「お前、調子に乗るなよ」などど、決して否定する言葉を使ってはいけません。周囲は大変な忍耐が必要になりますが、いつか大人になった時、その寛大さが骨身にしみるはずです。

自分を過小評価している人への対処

何も知らなかった若い頃と違い、知識や経験と共に慎重になる中堅層の方には、小さな成功を褒め、その価値を周囲が理解する機会を作り、自信回復していきましょう。実力と自己評価が一致して、少しずつ活躍の場を広げていきましょう。

まとめ

  • ダニング=クルーガー効果とは、自己評価が客観的評価よりも高い(=過大評価)ことを言う。
  • 天狗になっている人にはチャンスを与え、失敗から正しい自己評価を気づかせる。

物事が自分の思う通りにいかないことを、人は年齢と共に経験していきます。また好き嫌いに関係なく、日々任務を遂行することがどれだけ難しいことなのか、あるいは自分が頑張ってなんとかなることは、むしろ簡単だと思えるようになるには、大変な年月が必要になります。年齢に関わらず、謙虚な姿勢は成長を促すということです。ダニング=クルーガー効果は、生きていく上で大切なことを私達に気づかせてくれています。

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