「まったく最近の若い連中は」という言葉を聞く度に、世の中は便利になったが生きにくくなったと感じる方々もいるのではないでしょうか?現代の若手世代のことを、ミレニアル世代やZ世代と呼び、家庭や職場でどのように扱えばよいのか、苦慮している人々は大勢いるかと思います。今回は、ミレニアル世代・Z世代の特徴と価値観を振り返りながら、現代の若者とどう向き合い、一緒に生きていくのかについて、見ていきたいと思います。
ミレニアル世代・Z世代とは?
日本ではゆとり世代といった名前もありますが、ミレニアル世代やZ世代というのは、日本に限らず、アメリカを中心に世界的に区分されている現在の若手世代のことを言います。
ミレニアル世代の特徴と価値観
ミレニアル世代とは
主にアメリカで1980年代から2000年代初頭までに生まれた世代で、経済的に豊かな世代の両親の元で育ち、中・上流家族のステイタスを維持しようと努力する傾向があります。
ミレニアル世代の特徴
- パソコン・スマホは生活の一部、テクノロジーへの適応能力が高い
- ソーシャルメディア(FacebookやInstagram)が好き
- 教育レベルが高い
- 成功率の高い経験をする(失敗する経験はしない)
- 謝らない(誤り方を知らない・叱られたことがない)
- 将来への不安よりも、今を重視し楽観的
働き方へのモチベーションを維持する要因は、仕事の価値とインパクト、自己成長、人間関係。下げる要因は「金」「名声」「自立」。地位や名声、生活の為にお金を稼ぐ、心身ともに自立する、といった考え方は、ミレニアル世代には響かない、ということです。
また、叱られたことがない為、「叱られる=悪いことをした」という認識があり、「厳しくされる・叱られる=伸び代があり期待されている」という解釈も理解できません。その人が実は仕事の能力が高く、人望の厚い人物であったとしても、叱られている様子をみると、「あの人は、能力がない・失敗した人だ」と捉える感じです。
また、一つの行動に対して指摘をしたとしても、人格すべてが否定されたと過剰解釈をする傾向があり、指摘されるような問題があったとしても、自分に非があったと受け止めずに逃げてしまう部分が、周囲の怒りを増長させてしまうという特徴があります。
Z世代の特徴と価値観
Z世代とは
Z世代(ジェネレーションZ)は、主にアメリカで2000年代初頭以降に生まれた世代。リーマンショックによる不況を経験した両親の元で育ち、財務観念が現実的。教育やキャリアに対して伝統的な見方をする傾向があります。
Z世代の特徴
- 2008年の世界金融危機と国際テロなど、外部の脅威に敏感
- スマホ・パソコンなど、テクノロジー依存型。約半数が1日3時間以上パソコンを使用。
- TikTok やYoutubeが好き
- 起業精神が他の世代よりも強い。
- 将来を重視し現実的。
なぜジェネレーションギャップが生じるのか?
「最近の若い連中は」という言葉をよく耳にします。1970年代、あるいはそれ以前の年代は、「年長者のいうことは黙って聞くべきだ」「なるべく一つの会社で長く働いた方がよい」という社会の中で生きてきました。「組織内の序列は重んじるべきだ」、「一つのところで長続きしない人間はどこにいってもダメだ」といった考え方が主流でした。これに対し、ミレニアル世代はこのように考えています。
- 会社での役職は「役割」であって、仕事の上下関係や社会的優劣とは別物。
- 仕事は年齢ではなく能力で判断すべきだ。
- 会社と自分は、雇用契約上で締結しているだけの間柄。契約の範囲内あるいは契約条件に従って働き、サービス残業はしない。
- キャリアアップのために転職するのは当然だ。
ミレニアル世代の考え方は、それ以前の世代とは全く異なるものです。上記のようなことをシニア世代に言ってしまうと、人権やハラスメントといった理不尽さと長年戦って現在の社会に繋げてきた、彼らの人生や価値観を否定されたように聞こえてしまいます。自分の思いや考えをうまく伝える手段や場面、コミュニケーション能力をうまく養成できなかった世代からすると腹立たしく、「最近の若い連中は」とつぶやいてしまうのは、自然なこと。では、どうやって世代を超えて理解していけばよいのでしょうか?
2つの倫理観
社会には2つの異なる倫理観があり、フラットな人間関係を前提にする「開放的価値観」と、上下関係を前提にする「閉塞的価値観」があります。そして私たちの誰もがその2つの世界を同時に生きている、と言われています。
開放的価値観とは、暴力反対、自発性尊重、正直、フレンドリー、契約重視、クリエイティブ、快適・利便性の向上、楽観主義
閉塞的価値観とは、敵をやっつける、規律遵守、伝統重視、上下関係重視、忠実、見栄、勇敢さ、名誉
価値観の違いは、非倫理的に見えてしまい、二者間に分かり会えない壁が立ちはだかるように感じてしまいます。2つの倫理観は、年代問わず誰もが持っています。職場あるいは家庭など、状況に応じてどちらの価値観を重視しているかは人それぞれなのです。
どのように接していけばよいか
相手を理解する
ミレニアル世代・Z世代に拘わらず、まずは相手を理解するところからはじめましょう。職場であれば、「なぜこの会社に入社したのか」「現在の仕事について、どう感じているのか」など。
動機づけ
「なぜその仕事をする必要があるのか」を伝えてみましょう。「つべこべ言わず、言われたことを早くやれ」は通用しないのがミレニアル世代・Z世代です。動機づけは状況と共に変化し、当初と違う動機になることも、世の中にはよくあることですが、「言わなくてもそのくらい理解しろ」は基本的にわからない世代であることを、心に留めておきましょう。
成長を期待させるような場づくり
ミレニアル世代は表面的な目に見える華やかさやカッコよさがないと、モチベーションの維持が難しい世代です。地味な下積みや土台作りは、大きな成功には不可欠ですが、この世代に関しては、まずは彼らの目に見える形での自己成長が感じられるKPIやキャリアパスが必要です。尚今後、Z世代が会社の若手世代になってきた場合は、別の方法が必要になってくると思われます。
まとめ
- ミレニアル世代は1980年代から2000年までに生まれた世代。
- ミレニアル世代の成長を促す為には、動機づけとわかりやすい自己成長の道標を
ミレニアル世代は1970年代以前と比較し、物理的にも経済的にも恵まれた世代ではありますが、理不尽な仕打ちや出来事に遭遇せずに生きてきた為、動機づけがないと前に進めなかったり、違う意見を持つ人間のささいな言葉を否定と受け止め、躓いてしまうところがあります。「人生の機微は大人になればわかるだろう」と思うかもしれませんが、そのまま年齢を重ねていく可能性もあります。まずは、リラックスして接してみましょう。
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