【わかりやすく解説】シリコンバレー銀行破綻の原因・理由・今後の影響

政治・経済
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ITを使った、いわゆるテック企業・スタートアップ企業向けのアメリカの銀行「シリコンバレー銀行:SVB」が3月10日経営破綻し、大きな話題となりました。日本ではあまり馴染みのない銀行ですが、なぜ大騒ぎになっているのでしょうか?今回は破綻の原因・理由・今後の影響について、わかりやすく解説していきます。

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シリコンバレー銀行とは

スタートアップがたくさん集まるアメリカ合衆国西海岸シリコンバレーというところに、「シリコンバレー銀行」という地方銀行がありました。シリコンバレーでは、スタートアップがどんどん資金調達をし、手元の現金をたくさん増やしていた為、シリコンバレー銀行は、そんな彼らの現金をたくさん預かることができました。以前は超低金利であった為、彼らに払う金利はさほど大きくありませんでした。

そこでシリコンバレー銀行は、スタートアップから集めた現金を、10年国債や住宅ローンなどに投資して、稼ぐことにしました。シリコンバレーのスタートアップが資金調達をすれば、一定金額の預金を入れてもらうことを条件に、お金を貸し付けるといった具合に関係性を強化し、預かり資産は益々増加。預金はこの3年で3倍以上の1754億となり、2022年末時点での総資産は2090億ドル、資産規模は全米16位に上り詰めるまでになっていました。

破綻の原因・理由

そんな世の春を謳歌していたシリコンバレー銀行を悪夢が襲います。アメリカ中央銀行が決めた「利上げ」。利上げ(金利を上げる・引き締める)ということは、お金を借りにくくなります。これにより、スタートアップ企業の資金調達は難航。彼らの赤字はシリコンバレー銀行の預金残高が減っていく状況につながっていきます。

銀行は資産運用する為、現金を手元に多くおきません。シリコンバレー銀行は、資金調達に難航するスタートアップ企業から現金を引き出されるようになり、手元におく現金が必要になりました。しかし、彼らから預かったお金は、国債や住宅ローンなどに投資をしてしまっている為、それを現金に戻す必要があります。国債は昨今の利上げの影響で、買った時よりもその価値が下がっている、つまり含み損を抱えていた状態。

今現金に戻すということは、損失を出すことになりますが、シリコンバレー銀行はこれらを売却(有価証券を売却)し、損失計上を発表。そして、新株を発行することを2023年3月8日に公表しました。この新株発行は、バランスシート(貸借対照表:企業の資産・負債・純資産の金額と内訳を示す表。企業の資金調達方法や財政状況がわかります)の強化が目的であっったようですが、これが、スタートアップへの不安と不信感に繋がり、資金の引き上げが相次ぐ結果、つまり預金流出の速度が高まり破綻に繋がった、ということです。

日本への影響

シリコンバレー銀行に預金していたテック企業やスタートアップは、シリコンバレー銀行が破綻したことで、預金の引き出しがいつできるのか、預けたお金が全額返ってくるのかといった懸念、直近での懸念点として従業員への給与の支払い問題などが挙げられますが、米国政府が全額保証するという報道がされています。

また、全米16位の銀行が潰れたことで、他の銀行へも不信感が募り、連鎖反応がおきるのではないかと懸念から、金融業界全体で株価の下落傾向が見られます。2023年3月10日、アメリカ連邦預金保険公社(FDIC)が管財人として、資産を引き継いだという報道がありましたが、預金をしているスタートアップ企業側としては具体的な道筋が見えるまで、懸案事項を抱えた状態が続きそうです。

資金の引き上げが必要な状態にある企業には限りがあり、心理的な不安が一時的にあるものの、市場全体への影響は限定的、とアメリカ側ではみているようです。日本のテック企業やスタートアップ企業の多くは、日系の大手銀行を利用していると思われる為、本件による大きな影響はないと思われますが、しばらく動向に注目が必要です。

まとめ

  • シリコンバレー銀行破綻の原因・理由は、金利上昇に伴う有価証券の含み損と、テック企業らの相次ぐ資金引き上げ。
  • シリコンバレー銀行は、アメリカ連邦預金保険公社(FDIC)が管財人へ。日本への影響はさほど大きくない模様。

新株発行後わずか2日で破綻という、衝撃的な出来事であった今回の事件。シリコンバレーのスタートアップ企業の行動力がすごいのか、シリコンバレー銀行の経営の危うさが敗因なのか、その原因・理由について、後日専門家の方がさらに分析・解説されると思われます。また今後いずれかの人、あるいは企業が、シリコンバレー銀行を買い入れる可能性もあるかもしれませんね。今後の経済動向に引き続き、注目です。

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