様々なテクノロジーの発達が目覚ましい昨今。デジタル化の進化と共に、DX、IoT、AIなど、最新技術を活用した新しいビジネスモデルが次々と展開されています。今回はIoTを活用した、高齢者・登山者・セキュリティサービス・小売業向けの面白い事例について、みていきたいと思います。
高齢者向けのIoT活用事例
VALUECARE:安価で省電力な高齢者見守りサービス
加速度センサーとSigfoxを使用した、高齢者見守りサービスを提供している企業。LPWA(Low Power Wide Area-network)規格の1つである「Sigfox」を活用し、Wi-Fi・SIM不要で低消費電力・低通信料金の高齢者見守りサービスを開発しました。
LPWAとは https://www.kccs.co.jp/sigfox/service/lpwa/
振動を感知する加速度センサーを冷蔵庫に取り付けて、開閉時に感知される信号を「Sigfox」で取得し、冷蔵庫の利用状況(開閉状況)が、Lineやメールで家族に通知されます。加速度センサーにはボタンも装備されていて、高齢者がボタンを押すと、家族にLineやメールで通知が行くように設計されるという、面白いビジネスモデル。
Sigfoxとは、仏国UnaBiz SAS社で開発された通信方式で、非常に低速(~100bps)ではあるものの、低価格・低消費電力・長距離伝送の特長があるグローバルIoTネットワークです。日本では、京セラコミュニケーションシステム株式会社が、通信事業者としてエリアを構築しパブリックネットワークサービスを展開しています。
ノバルス:機器をIoT化させる乾電池
乾電池型IoT製品「MaBeee」とそのアプリを提供。乾電池を使用する機器であれば、何にでも装着できるようです。照明用に使うと、証明の明るさを携帯で調節することが可能。また「見守り機器」としての乾電池を使えるのは面白い活用法です。例えば、1人暮らしの高齢者のテレビリモコン、ガスコンロなどの機器に「見守り乾電池」を装着することにより、機器の利用回数を家族がモニタリングして安否確認に利用できると思われます。
登山者向けのIoT活用事例
Yamap:登山見守り機能
登山やハイキングが好きな方にはお馴染みのアプリ、ヤマップ(Yamap)。見守り機能とは、あなたが山で活動をしているときの位置情報を、あらかじめ設定した家族や友人などに定期的に共有できる機能。「位置情報を共有する」「位置情報を残しておく」ということには、大きく2つのメリットがあります。
この機能のすごいところは、電波圏外でも位置情報を共有できるということ。自身が圏外でも、位置情報をインターネットに送る仕組みが備わっています。みまもり機能を使っている登山者同士が山ですれ違うと、お互いの位置情報が交換され、Yamapのサーバーに保管。位置情報の交換はスマートフォンのBluetooth機能を通して行われます。(YAMAPのBluetooth「こんにちは通信」をONにする必要あり)
つまり、自身が圏外にいたとしても(身動きが取れなくなったとしても)、みまもり機能を使用しているユーザーとすれ違い、そのユーザーが後に電波圏内に入れば、その位置情報はYAMAPのサーバーへと送られ、安否を気にする事前登録された家族や友人と共有される⇒警察や自衛隊の捜索救助範囲がある程度特定され、救助率が高まる、ということができます。これはなかなか面白いIoTの活用事例の一つです。
セキュリティーサービスでの活用事例
AbiliSense:音声認識で異常時に警告
音声認識により異常事態を検出し、警告するサービスを提供している企業。マイクロホンで音声を拾い、音声認識エンジンに伝達して、音声をリアルタイムで分析。音声が異常事態によるものかどうかを判定して、警告するという面白いシステム。例えば、爆発音、赤ちゃんの鳴き声、家や車の窓が割れる音、銃声、高齢者が階段から落ちた音などを、AbiliSenseの音声認識エンジンが検出してユーザーに通達、という感じです。
小売業向け活用事例
RainUs Co.,Ltd:電子「棚ラベル」でコスト減
電子棚ラベル「InforTab」を開発・提供している韓国の企業。小売業をはじめ工場、倉庫、ホテル、レストランにおいて、紙の棚ラベルが使用されていますが、紙のラベルは商品の価格が変わるごとに新たな棚ラベルを印刷して張り替える必要があり、張り替える人件費がかかる上、貼り間違えなどのミスも発生しやすい。
利用の流れとしては、まず管理システムを使用してコンピューターで商品情報(価格やバーコード)を登録。その上で「InforTab」のピンを棚のレール穴に差し込むと、ワンタッチで設置。スキャナーで電子棚ラベルと商品のバーコードを交互に読み取ると、電子棚ラベルに商品情報が表示されます。また、スマートフォンで電子棚ラベルのNFCタグを読み取って、商品情報詳細を閲覧することも可能。SDGsの一環としても推奨できる、IoTを活用した面白い事例の一つです。
TRYFIT TECHNOLOGIES :3Dスキャンにより自身の足似合うシューズを
小売業向けに、最適なシューズを提案する3Dスキャナー「TryFit」を開発・提供している企業。3Dスキャナー「TryFit」は台型の装置。ユーザーが台の上に足を乗せると、足の幅や長さだけでなくかかとの胴囲、ふくらはぎの胴囲など、8箇所を1ミリ単位で立体的に採寸する。運動する際に必要な靴のサイズを提案するだけでなく、足の形状にふさわしい最適な靴を提案してくれます。
「TryFit」は、ニューバランスやアディダスなどのブランドにも利用されているので、店舗でシューズを探しに訪れた方の中には、使ってみたことがある方もいるのでは?
まとめ
- IoTを活用した高齢者向けの見守りサービス事例は、今後も需要伸びる可能性あり。
- 娯楽・セキュリティ・小売業向けに、面白いIoTサービスが既に展開されている。
IoTの活用は、企業で行われているような産業用事例のみならず、私達の生活の身近なところで生かされ、今後も発展していく可能性を含めています。生まれた時から携帯電話やパソコンに慣れ親しんできた世代と、そうではない高齢者世代との間で、面白いと感じる認識に違いはあるかもしれませんが、うまく活用して人生と生活を豊かにしていけたらいいですね。
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