「男性更年期」という言葉を聞いたことがありますか?更年期というと女性、という先入観がありますが、近年、男性更年期も認識されはじめています。50代が男性更年期の目安と言われ、男性ホルモンの低下が原因と考えられていますが、男性更年期の症状には、イライラ、不眠、無気力、汗、冷え性、便秘、めまい、などがあります。今回は、男性更年期の各症状をどのように漢方薬で対処するのかについて、みていきたいと思います。
男性更年期に見られる症状
男性の場合、体のリズムが8年の周期で変化しており、50代(56歳前後)が男性更年期の目安と言われ、イライラ、憂鬱、不眠、無気力といった精神症状が現われやすいと言われています。また、疲労感、ほてりや発汗、冷え性、便秘、しびれ、めまいなどの症状のほか、性機能の低下を伴う場合もあります。ただし、これらの症状が出ることが男性更年期が原因とは限りません。他の病気が潜んでいる可能性もある為、症状が気になる方は、病院で専門医の方にご相談下さい。
男性更年期障害によく使用される漢方
男性更年期障害に対応する漢方薬は、症状別にいくつかありますが、よく使われるのは、下記の通りです。
泌尿生殖器や腎の機能低下に使われる漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん)は、泌尿生殖器や腎の機能低下がある場合に使われる漢方薬。男性ホルモンの一種であるDHEAの分泌を高めるのに有効な漢方です。
だるい、無気力、疲れやすい症状に使われる漢方薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、仕事や日常生活の疲労感(だるい、無気力、疲れやすいなどの症状)を伴う場合に使われる漢方薬。ストレスがあると分泌されるコルチゾールというホルモンや、コルチゾールの分泌を促す副腎皮質刺激ホルモンの分泌を低下させる作用があります。
イライラ・不眠といった症状に使われる漢方薬
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、寝つきが悪い、ストレスなどでイライラする方、不眠がある方に使われる漢方薬。コルチゾールの分泌を低下させることでテストステロンの分泌を高める作用がある漢方で、比較的年齢が若く、ストレスを強く感じている人に勧められます。
大量の汗・手足のほてりに使われる漢方薬
知柏地黄丸料(ちばくじおうがん)は、顔、手足のほてり、急に上半身や顔が熱くなったり、大量の汗が出たりする(ホットフラッシュ)方に、使われる漢方薬。
冷え性に使われる漢方薬
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)は、一般的に冷え性に使われる漢方薬。手足など末梢を温めるとともに、体の内部にもはたらき、冷えによる諸症状を改善する効果があります。
便秘に使われる漢方薬
麻子仁丸(ましにんがん)は、一般的に便秘に使われる漢方薬。漢方の考え方では、便秘は体の中で水がうまく巡っていない状態。コロコロしたウサギのような便が特徴的。「麻子仁丸」は腸を刺激するだけでなく、腸を潤し、便を軟らかくするため、無理なく体質に合った便秘改善が行えます。
めまいに使われる漢方薬
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)は、一般的にめまいがある方に使われる漢方薬。漢方では「水(すい)」の代謝が悪くなり、「水」が体の上のほうで滞留し、「気」のめぐりをさまたげると、めまいが起こると考えられています。めまい、立ちくらみ、頭痛、耳鳴りなどに効果があるとされている漢方薬です。
まとめ
- 男性更年期は、50代(56歳前後)から見られる。
- 男性更年期には、イライラ、不眠、無気力、汗、冷え性、めまいを始め、様々な症状がある。
- 更年期に対処した、症状別漢方薬がある。
女性のように閉経があり、劇的に変化するわけではありませんが、男性も50代を目安に、心身共に変化していきます。イライラ・不眠・無気力・汗・冷え性・便秘・めまいといった症状に対応した漢方薬がありますが、その原因が更年期障害とは限らず、何か他の原因が潜んでいる場合もある為、気になる方は、病院で専門医の方に相談してみて下さい。
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