近年、投資に対する意識や興味が高まる中、株主優待に興味を持つ方も多いと思います。変動する株価は避けられませんが、「クロス取引」という手法を用いることで、株価変動に左右されず株主優待を取得する方法があります。今回は、株主優待を受けるにはどうすればよいか・売るタイミング・メリット・問題点についてみていきます。
株主優待を受けるには?
株主優待を受けるには、「権利確定日に株主である」必要があります。権利確定日とは、一般には決算日。3月末決算企業であれば、3月31日。(年2回優待実施の場合は、3月31日と9月30日)。その権利確定日に株主であることが、優待を受け取れる条件となります。これらの権利を得るためには、権利確定日までに受渡しが完了している必要があります。権利付最終日(権利確定日を含め3営業日前) の大引けまでに約定し保有していたものについて、その権利が得られます。
注意点は、権利確定日に買っても遅いということ。権利付最終日(権利確定日を含め3営業日前) の大引けまでに株を買い、権利落ち日以降に株を売る必要があります。例えば、9月末決算企業の場合、2022年9月30日が権利確定日となる為、2022年9月28日が権利付最終日なり、2022年9月28日の大引けまでに、約定して株を保有する必要があります。
優待銘柄の株価は、権利付最終日までは上がりやすく、権利落ち日以降に下がりやすい傾向があります。(権利落ち日は、権利付最終日の翌日です。)しかし、クロス取引にて株の売買をすると、株価の変動に左右されずに株主優待を獲得することができます。クロス取引を簡単に説明すると「現物買い」と「信用売り」注文を同タイミングで出し、株価変動リスクを抑えつつ優待の権利を獲得する、というものです。
クロス取引とは?―メリット、買う・売るタイミングー
クロス取引とは、「現物買い」と「信用売り」注文を同タイミングで出すことです。メリットは、株価変動リスクを抑えつつ優待の権利を獲得することです。「現物買い」は通常の株取引。「信用売り」とは信用取引の売り注文のことで、「空売り(からうり)」と呼ばれています。信用売りは、手元にはない株を証券会社から借りて売る、という取引です。
「現物買い」をした場合、株価が下がると損失が出ます。逆に「信用売り」では株価が下がると利益がでます。この2つの注文を同時に出し、株価に値動きがあっても損益が相殺される、というのがクロス取引。株価の変動に関わらず、損失も利益も出ないということです。クロス取引を行っている状態で権利付き最終日を迎え、その後権利落ち日以降に決済を行うと、実質手数料のみで優待の権利を獲得することができます。(売るタイミングは、権利落ち日以降)
クロス取引の方法については、各証券会社や株取引に精通した方が運用するブログが多数ネット上にありますので、ご自身にあったものを検索下さい。
問題点
クロス取引では、現物株によって優待・配当の権利は手に入りますが、実質配当金はもらえません。現物株での配当金受け取りと、売建玉による配当落調整金の支払いで、両者が相殺される為です。クロス取引のメリットは、株価の変動に左右されず、株主優待を獲得する点です。
株主優待、どれが良い?
各証券会社のサイトにおいて、各企業の株主優待に関する詳細が記載されています。株主優待の権利月は、3月・6月・9月・12月の企業が多いです。外食産業の食事券、食品メーカーの自社製品、日用品を取り扱う化学メーカーの自社製品などは、物価高騰している現在、さらに人気が高いようです。優待内容は変化することがありますので、各証券会社に掲載されている最新情報をご確認下さい。
下記サイトも、色々と情報提供しています。【株主優待に関する情報誌】お金の情報サイトZAI
まとめ
- 株主優待を受けるには、権利付最終日までに株を買い、権利落ち日以降に株を売る。
- クロス取引を行うメリット:株価の変動に左右されず、株主優待を獲得できる。
- クロス取引を使う際の問題点:配当金は実質もらえない。
今回は、株主優待に関する基本情報について、簡潔に述べました。実際の取引について、わかりやすく解説しているサイトもありますので、興味がある方は別途検索下さい。株取引には様々なメリットとデメリットがありますので、ご自身に合うスタイルでご検討ください。
【補足】株に関する他の記事は、こちら。
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