現在、アメリカ、中国、UAEの3カ国が火星に探査機を送り込み、火星への夢が膨らんでいます。中には「火星移住」という壮大な夢を抱いている人もいます。隣の惑星とはいえ、片道で何ヶ月もかかる距離に位置する火星。現在イーロン・マスクを始め、様々な実業家や国家が、宇宙とりわけ火星へのプロジェクトを進めていますが、実際どんな問題点があるのでしょうか?今回は、火星移住の可能性と問題点について見ていきたいと思います。
宇宙への夢―火星移住プロジェクト―
現在アメリカの実業家イーロン・マスク(Elon Musk)やジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)などが、宇宙関連ビジネスのプロジェクトに携わっています。アマゾン創業者のジェフ・ベゾスのプロジェクトは観光目的で、費用は25万ドル程度(約2800万円)。これに対し、電気自動車メーカー「テスラ」や宇宙企業「スペースX」の創業者イーロン・マスクの夢は大きく、火星移住を視野に入れています。
火星移住の問題点
火星移住のために解決しなければいけない問題点は、大きく4つ。最初の2つは片道にかかる時間と放射線です。無人探査機の場合、少なくとも約8か月かかりますが、有人の場合には船体が大きくなり、加速と減速を含めた速度制約があると考えると、1〜2年。その期間の放射線量も問題点として挙げられます。
地球と火星が約2年おきに接近する機会に飛行するのがベストですが、出発の際に最短だったとしても、火星から地球に向けて出発する為のタイミングも見計らう必要もあります。1〜2年かけて火星に到着する頃には、火星と地球の距離は遠くなっていて、帰ることができない為、次のチャンスは2年後の再接近時。つまり火星で2年過ごさなければならないことから、往復となると4〜6年かかる計算です。
放射線量の問題については、現段階で火星に到着するまでの約8ヶ月間に浴びると予想される量は、一年間の被爆許容範囲の1000倍に相当する、と言われています。火星は大気が薄く、地球上と違い桁違いの放射線が降り注ぐ星です。火星移住となると、しっかりとした防御服、宇宙船といった装備は不可欠です。また帰還分の燃料がない為、現地火星で何らかの方法で燃料を作り出す為の技術と、自給する為の食料の問題も、残りの問題点としてあります。(酸素や重力の問題も、ありますね)
・マスクの火星移住プロジェクト、実施はいつ?
2020年9月、メキシコで開催された国際宇宙会議(IAC)で 人類の「火星移住計画」を発表した電気自動車メーカー「テスラ」のCEOで世界的な大富豪のイーロン・マスク。「あと5年半以内に人類が火星を訪れるだろう」と大きな発言をしています。
マスク氏が率いる航空宇宙メーカー「スペースX社」のプロジェクトとは、火星と地球が最接近する2024年までに 再使用可能な宇宙船を開発し、火星に到達できる有人宇宙船の運用を開始し、2026年までに火星までの有人飛行を成功させるというもの。そして、2040年から100年をかけて火星に100万人規模の人類を送り込み、彼ら が自給自足して暮らせるようにする、というのが最終目標。
環境と生態系の破壊が進む地球には、将来的に住めなくなる可能性がある為、他の惑星に生命圏を広げることが人類の生存の為に必要だ、というイーロン・マスクの考えは一理あります。最近は火星に関する動画シリーズもあり、「アウェイ」「マーズ 火星移住計画」シリーズはNetflix で配信されています。
まとめ
- 火星移住の問題点は、目的地までにかかる時間、放射線量、燃料合成技術と自給食料。
- イーロン・マスクによる火星移住プロジェクトは、2040年より開始、の計画。
空を見上げて目に映る美しい星を見て、古来、人は様々な思いや夢を抱いてきました。また映画や漫画に代表されるように、他の銀河へ行ったり、機械が発達して人間を支配するような世界になったり、はたまた宇宙人と戦ったり。火星移住がいつになるのか、どのような問題点があるのか、といった話題は、映画の世界が現実的になってきた、という印象を受けます。イーロン・マスクのプロジェクトの進捗も、今後どうなっていくのか、引き続き注目していきたいですね。
【補足】イーロン・マスクに関する他の記事は、下記の通り。合わせてご覧下さい。
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